福島原発事件について考える
どうも混同されている節が見られるので、ここでもう一度整理しておく。
災害としては、東北の震災以降、津波と原子力発電所の混合災害ということで、一斉に地震の揺れが原子力発電所のメルトダウンに至るのではないか、との懸念が起因となって一層揺れへの不安が高まった。
また、2011年10月2日付の中日新聞のトップ記事にあるように(以下引用)東海・東南部・南海の三連動の発生が予想される東海地方で、東日本大震災のマグニュチュード(M) 9.0の巨大地震が起きた場合、国の中央防災会議が三連動地震で想定するM8.7と比較すると、津波で浸水する深さが3メートル以上となる深さが地域の面積が大幅に増えることが、名古屋大学大学院工学研究科の川崎浩司准教授(海岸工学)の研究で分かった。(引用終わり)
というような状況下において、「揺れ」に対する不安感がより一層高まったのは事実である。また、国から地方自治体へとハザードマップ、避難経路の資料を作成するようにと情報が降りてきたが故、各地方自治体の防災担当者も早急にまとめたものを所轄官庁等を通して国へとあげたものと推察される。
一口に混合災害と言っても、
東北大震災の時には、地震→大津波+原子力発電所のメルトダウン
と、大別できるわけである。つまり、福島の原子力発電所のメルトダウンと、大津波及び地震はすべて別に対応しなければならないのである。これをまた政治的論争に持ち込むのも良くない。もともと原子力発電においては、1986年にチェルノブイリ原子力発電事件が起きている(これは未だもってそのままの姿で残されている)。それによって、国内の原子力発電所への不安が高まった。その時もどうして原子力発電所が建てられているのが地方ばかりなのか、と言った疑問を皆が持った。その時にも既に原子力発電というのは、果たして安全なのか否かについて皆が考えたはず。それが今回福島原発がメルトダウンを起こしたからといって、福島県が悪いわけではない。他にも静岡県御前崎市にも原子力発電所はあるし、福井県にも原子力発電所はある。それらの収支決算を行わないまま、電力自由化という中途半端な形での規制緩和が行われたせいで、余計に論点が絞れなくなっているのは確か。一体、この国は、どのくらいの電力を必要としていて、使用された電力はどのくらいなのか。ここを明確にすべきだと思う。東北大震災と括ってしまえば、秋田の友人に聞いたところ、全然復興していないと言うし、復興したと見える箇所だって、本当のところはまだまだわからない。また、死にいたっては、阪神・淡路大震災の時のように、仮設住宅生活が長すぎた故に、孤独死が問題になったり、メンタル的に落ち込んだ高齢者世帯の自殺もあったかもしれない。つまり、近年のどの震災に至っても明確な被害総額は未だ確定できていないのかもしれない。それをごちゃ混ぜにしてすべてを同じにしてしまうことは、どうしても核心に触れていないような気がするのは、僕だけだろうか。下記の本は1986年に初版が発行されている。是非とも一読をお勧めしておく。また、原子力発電の仕組みを知りたければ、それぞれの原子力発電所に行けば、ちゃんとわかりやすく教えてくれる施設が伴っている。それらを踏まえた上で、もう一度、熟考すべき問題だと思う。
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