医療の難しさを伝えるには

私の母親は5年前に大腸癌と腸閉塞の合併で救命救急センターへ運ばれた。癌と言うのは、外科的手術で癌と思われる箇所を切除する。その時点では、癌かどうかはわからないのである。その切り取った部位の組織片を認定医が判断し、ようやく悪性新生物、すなわち癌と判断され、そのステージ分類が示される。結果、Stage2であった。大腸癌で、Stage2であれば、比較的軽い方で済んだと考えるのが通常の医師の感覚である。で、後はクリティカルパスを結んである近隣の開業医で面倒を見てもらい、定期的に診断を行い、その後を診ると言うのが通常の医療である。しかしながら、何処の病院も同じであり、適材適所が出来ていない、医師が不足している、スタッフが不足しているのが現状なのである。高齢者世帯の両親は、離れて暮らしている。そして、昨夏、またしても入院したという報を貰った時には、正直覚悟した。癌の予後は、通常5年生存率で判断する。ちょうど発症してから5年目であったからだ。メタ(転移)がリンパ節に移ったか、再発したかなどど考えてみたが、行った方が早いと思い、電車で行ってみた。暑い最中である。駅前の看板には、病院の位置が描かれていない。仕方がなく、なんとなく方向性を定め、歩き始めた。そう言う時に、スマホで調べれば良いのでは、と言われるが、スマホの地図はあくまでもwifi の電波で現在地を補正してあるに過ぎず、wifi が入らない地域では、自分のこと居場所すら、わからなくなるのである。そして、ようやく病院についても、よく状態がわからない。医師に尋ねようとしても、捕まらない。何度か通った挙句に、ようやく事態が把握できた。クリティカルパスを結んでない別の病院へ駆け込んだらしいのである。そうすれば、其処にはいままでの経過状況がないため、全く一からやり直し診察が始まるのである。そのため、結局はもとの入院していた病院でオペを行い、なんとか無事を留めた。それから、いろんな方法で両親の住んでるところへ行ってみているが、直接行ける方法はない。とにかく、いまは、焦って他の医療機関に行かない様に何回も説いて回っているが、どうなることやら。いまや、高齢者世帯の関心は、認知症と死である。これらをどう耐えてくれるかが、心配である。

これは基本的に固形癌の話であって、血液腫瘍等はまた別の話になります。

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