大工の川嶋さんの話。
僕の住んでた家は、2回目の家なんだけど、大工の川嶋さんに建ててもらった。
川嶋さんは、大工さんの、今で言えば、棟梁のような人で、僕は、隣の家が建つまでは、川嶋さんのとこで遊んでた事もある。
土地が安いとこになんで住むのか?
それは、明確なことは言えないが、地価の値段に依存する。ヘドニカルアプローチとして、時系列データを取った文献を読んだことがある。
若い夫妻には、そこに済まざるえないと言うか、そこに住んでいる理由がある。
中古物件にしろ、なんであれ、一戸建てを購入するには、なにかと家計の年収との因果関係があることは確か。
ま、そう言った若い夫妻が購入できるのは、そう言った地価の値段に依存する。その上に立つ家屋の値段は、売却する際には、ほぼ0円の価値しかない。減価償却費とかを実証分析する際には、考慮に入れなければ分析結果は、モノを言う結果は出ないけど。
川嶋さんは、そう言った懐事状を知ってか否かは、わからないけども、総額の値段を言うと、その中でなにかと工面してくれる人だった。
例えば、他を削ってでも、大黒柱には、さるすべりの木を使ったりしていた。さるすべりの木がわからない人は、別に譲る。
とにかく、大黒柱に、さるすべりの木を持ってくるのには、なにかと縁起があるのである。
そうして、僕の住む二軒目の家は建った。
それをモデルにして、次の家も建つようになった。
その間、僕は、そこの家が建つ間、大工さんの木くずに、墨壺で線を引いたり、かんなの削り方を教わって過ごしていたことがある。
親は、仕事で忙しく、僕は、新しい土地に住み着いた、よそ者なので、友人などいない。
そうした思い出があるゆえに、小学校から餌付けして連れきた犬の小屋は自分で作った。
暑い中、できるだけの木くずを集めて。
もちろん、そんなことは、御構い無しに犬は壊してしまうのだけれども。
総じていえば、川嶋さんのお陰で、大工さんの苦労もわからなくはないし、いま、川嶋さんのような人に我が家の中古物件に手を入れてもらえないかなあ、と、考えている次第である。
だから、三谷幸喜の作品で一番好きな作品は、『みんなの家』。棟梁役の邦衛さんの演技には、いつも共感させられる。
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